[名盤・再発見]
愛好家必携のカンテ選集。超定番歌詞が多く、カンテの歴史を俯瞰して見通せるのも魅力!
中谷伸一(「PURO DRUNKER」執筆者)
古くから「ペリーコのアンソロジー」と親しまれる愛好家必携のカンテ選集のデジタルリマスター版。原盤は1950年代中期ごろ発売のフランス盤とされ、1958年にスペイン初盤発売、一般市場に多く出回るのは1960年HISPAVOX盤がオリジナルらしい。本作がスペイン人にも評価される理由は、絶滅危惧種を含めた33種の曲がジャンル別に網羅された点。「踊りつきの歌CANTES CON BAILE」「東部の歌CANTES DE LEVANTE」「マラガのスタイルESTILOS DE MALAGA」「オリジナルな歌CANTES MATRICES」「田舎のスタイルESTILOS CAMPEROS」「土着の歌CANTES AUTOCTONOS」「ギターなしの歌CANTES SIN GUITARRA」――例えばハベーラス、ポロ、マリアーナなどは聴いたことの無い人もいるのでは。その他のパロも発祥の背景を示す超定番歌詞が多く、カンテの歴史を俯瞰して見通せるのも魅力だ。ラファエル・ロメーロのミラブラス、ニーニョ・デ・アルマデンのタランタ、ベルナルド・エル・デ・ロス・ロビートスのトゥリージャなど、各唄い手の持ち味を活かす選曲が心憎い。ギターは全編ペリーコ・エル・デル・ルナールI世。2枚組でCD1/17曲、CD2/19曲、1958年スペイン初盤の西語解説付き。
フラメンコ史上空前の、名アンソロジー。
カンテ・ボニートの時代が終り、カンテ・プーロ(純粋なカンテ)復興のキッカケになった歴史的名カンテ・アンソロジー。多くの歌い手達がこのアンソロジーをすり切れるまで聴いて勉強したという。歌い手はR・ロメーロ、ペリコン、アルマデン、マトローナ、ロビートスほか。ギターはペリーコI世。日本盤イスパボックスCD大全集が廃盤の今、本当に貴重です。