日本語カンテ〜時間を経て時代が進むほど文化は成熟する!新しい表現領域。
昨年の日本フラメンコ協会新人公演カンテ部門で準奨励賞を獲得した占部智恵。その彼女が何と全編日本語で押し通したカンテ・アルバムをリリースした。芸名はLA MOECO。タンゴ・デ・トリアーナやブレリア、ティエント、グラナイーナほかの伝統メロディに日本語が乗っている。思ったよりずっと自然に聞こえる。歌詞もいい。伴奏は日本のトップ・アーティストたち。全9曲、歌詞付き。
日本語カンテへの挑戦――まずそのことに拍手を送りたい。日本語カンテに先鞭をつけたのは、カンテ狂だった画家の故・堀越千秋さんだった。熱烈なアフィシオンと個性で新しい世界に分け入った。次に挑んだのはタカ(石塚隆充)だった。慎重に熟慮しながら曲を選んで歌った。より自然になっていた。そして3人目がLA MOECO こと占部智恵である。今回の快挙は、時間を経て時代が進むほど文化は成熟するということの証しだ。フラメンコの伝統メロディに日本語が乗ってきらきら輝いている。特に日本語音節が曲のリズムの裏に乗った時、素晴らしい効果を生み出している。新しい表現領域は押し広げられた。(アクースティカ/加部 洋)
Mas alla!(ブレリアス)/空と海と君と(アレグリアス)/笑顔のままで(ティエントス・イ・タンゴス)/vente conmigo/Amor〜愛のうた/ケ・セラ・セラ〜what a wonderful world〜(ブレリアス)/赤の砂漠(タンゴス)/紡ぐ心(グラナイーナ)/vente conmigo special ver.