プラスエラ地区の至宝マヌエル・モネオ逝去。ヘレスの伝統ここにアリ、という極め付きの一枚。
ヘレスのプラスエラ地区に残された至宝の一人、マヌエル・モネオ・ララは1949年、アセブーチェ通り生まれ。大黒さまのような異相を歪ませ放つ魂のカンテ・ホンドは、アグヘータと共演した映画「フラメンコ」（'95）でご記憶の方も多いだろう。本作は2015年に24歳で夭折した甥のギタリスト、マヌエル・モネオ“バルジート”に捧げた、未発表ライヴ音源集。古式ゆかしい伝統に則った、ぶ厚い年輪が宿るヒターノ声だけでも十分聴き応えがあるが、懐かしきファルセータを連発するモライート伴奏のブレリアや、甥バルジート伴奏のソレア、カリスマ的人気を誇った弟のエル・トルタとつなぐトナー・イ・マルティネーテ、通のハレオが飛び交う地元ペーニャ・ロス・セルニカロスでの親密な空気感といい、録音年代と場所、共演者の選択が非常にバランスが良いのが特徴。2曲目のソレア「Por ti abandoné a mis niños...」は、先日急逝した堀越千秋氏もよく唄っていたマヌエル・トーレのレトラだ。ヘレスの伝統、ここにアリ、という久々に極め付きの一枚。「フラメンコと大学」シリーズの第45弾。全10曲。（中谷伸一＜「PURO DRUNKER」執筆者＞）
Con Moraito, siempre (Bulerías)/A mi Barullo de los cielos (Soleá)/A solas con mi hermano el Torta (Tónas y martinetes)/A mi gente, las alondras reales - (Fandangos)/De otro tiempo (Bulerías pa escuchar)/Entre Albacete y Jerez (Taranto)/Con la pena que yo vivo (Soleá)/Como me acuesto llorando (Siguiriyas)/Al Rey de Reyes (Saeta)/Al Dios vivo (Saeta)