フラメンコとスペイン文化研究の、我が国の第一人者、濱田滋郎渾身の新刊著作!
筆者がパセオフラメンコ編集部に在籍時の1999年〜2001年に連載された音楽評論家・濱田滋郎氏の「約束の地、アンダルシア」。約二十年の時を経てこのたび書籍化された。フラメンコの故郷、スペイン南部のアンダルシアの成り立ちを、紀元前に存在したという幻の都タルテッソスから掘り起こす、壮大なスケールの歴史文化論だ。私達を魅了するフラメンコという芸能が、一体どんな土地で生まれ、育まれてきたのか。古代、中世、近世、現代までのアンダルシアの変遷・風俗を、豊富な資料を基に徹底的に語り尽くす。連載時との大きな違いは、写真とデザインの美しさ。当時スペイン在住だった高瀬友孝氏の詩情ある風景写真が贅沢に多用され、かの地の風や匂いが漂う写文集の趣きも。初心者に配慮した解説的な図版も挟まれ、非常にわかりやすい仕上がりだ。マニアには濱田氏の書棚を覗くような、巻末のスペイン語本の参考文献一覧が、お宝と言えるだろう。ユニークな音楽本出版で定評あるアルテスパブリッシング刊、全254ページ。(中谷伸一)
後世に残るべき名著が今ここに生まれました!(村治佳織/ギタリスト)
スペインの歴史・風土・芸術を旅する
第一部 歴史――大航海時代まで
第二部 スペイン統一後の文化
第三部 ヒターノとフラメンコ