タイトルに偽りなしの構成。曲のアプローチといい、フランスの沖仁といった雰囲気。
1993年フランス生まれのギタリスト、サムエリートと言えば、アンドレス・デ・ヘレス50代のデビューアルバム「アラニャンド・エル・アルマ」（'18）の伴奏で登場。20代半ばだが堅実な技術でヘレスの古色を盛り立てたのが記憶に新しいが、その前年に発表していたのが本作「ソロ」（'17）だ。7歳からクラシックギターをノルマンディー地方のカーン音楽学校で学び、数々の賞を獲得すると同時に、フラメンコギターへも傾倒。2013年にはアルビ国際フラメンコギター・コンクールでロンデーニャを弾き優勝した。クラシック畑出身らしく、音が綺麗に粒立ちダマにならない運指が特徴。フラメンコのパロ（曲種）の枠組をダイレクトに使わず、中途にグアヒーラのフレーズを挟んだり、ピカードやトレモロ、アルサプーアの技術でオリジナル曲にアクセントを加える手法だ。��の中盤にブレリアの嵐が訪れ、パコ・デ・ルシアへの敬愛が閃く。全ての楽器を操り、最後のシギリージャのレトラまで自分で歌った、タイトルに偽りなしの構成。曲のアプローチといい、フランスの沖仁といった雰囲気。全8曲。（中谷伸一）
Tiegezh/Comme l'air/Jërëjëf/Navegando/Sol/Yarnvili/Para siempre/Sonàmbulo