硬軟曲種の千変万化の歌い分けが聴き所!美しき楷書を学びたいカンテ練習生にも価値ある一枚。
ハエン県リナーレス出身のガブリエル・モレーノ(1941〜2019)は、鉱山がテーマの地元曲タランタを筆頭に、全曲種に通じたカンタオール・ヘネラル。全編カロー(ヒターノ語)で歌った実験作「カンタ・エン・カロー」('73)も発表するなど、極めて多面的な彼のレパートリーを、70年代のアルバムを中心に編纂したオムニバスが本作。冒頭の母カルロティカのタンゴや、ブレリアで見せるスピード感は、渋い哀調が代名詞のイメージを覆すだろう。宝刀のタランタは4曲、タランタ風ファンダンゴが2曲でファンの渇きを癒すと、マラゲーニャ、ソレア、ティエント、ペテネーラ、シギリージャ、トナー・イ・デブラ、と正統派ナンバーがズラリと並ぶ。硬軟曲種の千変万化の歌い分けが最大の聴き所だが、レトラの内容が、スペイン&日本で今も繰り返し歌われる定番ばかりで、美しき楷書を学びたいカンテ練習生にも価値ある一枚だ。フェリクス・デ・ウトレーラ、ラモン・デ・アルヘシーラス、セラニートと伴奏陣も腕利き揃い。全20曲。(中谷伸一)
Tangos de La Carlotica/El pañuelo quién lo trae (Tangos de Linares)/De Morería yo vengo (Tangos de La Carlotica)/Tan hermosa y peregrina (Tarantas)/ Jondura minera (Tarantas)/Están sembrando pimientos (Tarantas)/Me dijeron (Fandangos atarantados)/Con tu forma de mirarme / Los celos son tontería (Fandangos atarantados)/Mare si me mata un toro (Fandangos por bulerías)/En la tierra malagueña (Malagueña de Personita)/…………..