独自の批評眼に貫かれたフラメンコ文化論と、コンパス重視のフラメンコ・フルートの二刀流が見事!
音楽大学のフルート専攻卒のフラメンコ・フルーティストで作家、真城七子の初のフラメンコアルバム+フラメンコ文化論(書籍)。まず驚くのは、フラメンコが立脚するヨーロッパ、アジア文化を広範に掴んだ上で、フラメンコに切り込んで来るその鋭さである。それはまた独自の批評眼に貫かれており、ありきたりのフラメンコ著作物ではない。フラメンコの文化的背景、ヒターノの起源、フラメンコの成り立ちなど、今までにないディテールで書かれていて実に面白い。QRコードで更に詳細データが見れる。ここまでで十分に存在価値があるのに加えて、フラメンコ・フルートも吹く。文章でもリズム(コンパス)の重要性を説いているように、演奏はペペ・マジャ・マローテのギターにピッタリ寄り添うようなユニゾンが光る。全体的にオーソドックスな作風だ。カホンは音響の飴谷圭介で、こっちが本業だ。クレジットには、ペペ・マジャの他にモントジータ、ヘラルド・ヌニェス、サビーカス、パケーテな ど律義に書かれている。全7曲。
グラナダから(タンゴス)/アンダルシアに吹く風(アレグリアス)才ある者たちへ(ファルーカ)/レタマ(アバンドラオ)/鉱山からの帰路(タラント)/時間通りに(ブレリアス)/”マローテ”(グラナイーナ)