昔のカンテ・ライブの臨場感と伝統カンテを取り戻した、宝石のようなアルバム!
数十年に一度と言っても大袈裟ではない、凄いアルバムが出た。セビージャの由緒正しいヒターナ歌手、エスペランサ・フェルナンデス(55歳)の8年ぶりの新譜第4作のライブ盤だ。エスペランサはどちらかと言えば寡作だが、失敗作は一つもない。どのアルバムも熟慮されて作られている。本作の新鮮な驚きは何だろう。一つはライブ録音というものを考え抜いて、昔の臨場感溢れる本物のライブ音源にしたことだろう。これは意外にも最近誰もやっていない。アンダルシアの8つのペーニャ(トーレ・マカレーナ、ペーニャ・フェメニナ・ウエルバほか)と、1つのテアトロでの録音だ。そして歌うカンテは全て伝統に根差したものであり、ライブには珍しい歌詞付きである。9か所を巡り歩いたライブだけあって、曲によってそれに相応しいゲスト歌手を招いての演唱である。父クーロ・フェルナンデスもセラーナで登場する。伴奏は専属と言えるミゲル・アンヘル・コルテス。アルバムタイトルの「カンテ禁止」はフランコ独裁時代のバルの張り紙のアイロニー。宝石のようなアルバム!全12曲(81分)、歌詞付き。
Cai de mis entrañas (Alegrías)/Mi Mariana (Mariana)/El tiempo tiene la llave (Soleá y caña)/Estaba soñando (Fandangos)/Prefiero morir (Toná Cabal)/ Allá en el 57 (Guajira)/Repompa y Pastora (Tangos)/Penitencia (Petenera)/La Serranía (Serrana)/Siete dolores (Siguiriya)/A mi Paquera (Bulería)