[名盤・再発見]
かすれたヒターナ声の色気と貫禄。ライブ盤としてその熱がしっかり伝わってくる成功作!
中谷伸一(「PURO DRUNKER」執筆者)
カマロン、アデラ・ラ・チャケータ、バンビーノ――敬愛する先人へのオマージュが詰まった、グラナダ出身のヒターナ歌手、マリナ・エレディア、初のライヴアルバム。以前見た山奥のフェスティバルでは、聴衆の態度の悪さに四苦八苦だったが、この録音では圧巻の一言。往年のコルーコ・デ・アルヘシーラス(1910〜1938)に捧げる端整なミロンガを皮切りに、シギリージャ、ファンダンゴ、クプレ、ルンバ、ブレリアと、新旧硬軟自在な曲種を見事に唄い上げるコンプレータ(完全)ぶり。1980年生まれのマリナは、本作発表時の2013年には30代前半。昔の美人なキレイ系カンテから、かすれたヒターナ声の色気と貫禄が加わり、王道をゆく本格派への深まりが著しい。ギターには長年コンビを組むホセ・ケベド“エル・ボラ”&ヘレスの若頭、ディエゴ・デル・モラオ。最後のカマロンへのブレリアは感動的。単なる絶叫コピーとは違い、マリナ節が全開になるほどに、よみがえる伝説の記憶。カマロンファンの筆者も思わず涙。時空を越えた美しい共鳴にオレ!!!全9曲、歌詞付き。【純フラメンカ度★★★★★】
グラナダの第一線ヒターナ、マリナ・エレディア初のライブ盤!伝統カンテ+多彩なレパートリーが示す実力。
グラナダ生まれのカンタオーラ・ヒターナ、マリナ・エレディアは80年生れの33歳。01年、21歳の時「メ・ドェレ、メ・ドェレ」で鮮烈なデビューを果たして以来12年、4作目の本作は初めてのライブ盤である。前作の「マリナ」ではプーロなフラメンコを目一杯聞かせたが、今回はその流れを汲んだ伝統カンテと、彼女の成長と実力を示す多彩なレパートリーで聴衆を釘付けにしている。ボリータ・デ・ヘレス、ディエゴ・デル・モラオの伴奏で歌うブレリア・ポル・ソレアやファンダンゴ・リブレ、カーニャ・イ・ポロ、ディエゴの迫真の伴奏で熱唱するシギリージャ。その一方で、モレンテへのオメナーヘで歌うエストレージャのタンゴ、のりのりのクプレのブレリア、そしてバンビーノへのオメナーヘではルンバのヒット曲「ボイ」、最後はカマロン&ペペ・デ・ルシアのブレリアと、その多彩さで聴衆を飽きさせない。ライブ盤としてその熱がしっかり伝わってくる成功作。受け継がれるのは伝統カンテだけではない。パーカッションにパキート・ゴンサレス、パルマにハラ・エレディアほか。全9曲、歌詞付き。
★ディエゴ・デル・モラオ伴奏のシギリージャ!
En los brazos de mi mare(Milonga)/Bulería pa’ escuchar(Bulería por soleá)/De Chocolate (Fandangos)/Sabe a sangre(Siguirilla)/Personas reales (Caña y polo)/De Adela(Cuplé)/Bambineando(Rumba) con Mónica Naranjo/Morentangos(Tangos)/De leyenda(Bulería)