「赤箱」で未収録の歌い手を新採録して全27人71曲にまとめた4枚組。愛好家必携の名盤!
ファンの間で畏敬を込め「赤箱」と呼ばれる伝説の4枚組BOX「アルチーボ・デル・カンテ・フラメンコ」(原盤1968年発売)の続編的存在が、この「メディオ・シグロ・デ・カンテ・フラメンコ」(原盤1987年頃発売)。赤箱同様、作家・評論家ホセ・マヌエル・カバジェーロ・ボナルド(1926年生まれ)の指揮のもと、赤箱で未収録の歌い手(アントニオ・マイレーナ/マヌエル・アグヘータ/初代テレモート/ディエゴ・クラベル/マヌエル・ソト・ソルデーラ/トゥロネーロ)を新採録して全27人71曲4枚組にまとめた。赤箱LP6枚組時代は曲系統ごとの分類だったが、「聴く愉しみ」を重視した本作は、次々に異曲種が展開する華やかさ。だがやはり最大の特徴は、誰もが聞き覚えある名歌手・伴奏家たちの、きわめて“ノッた”演唱ばかりが収録された点だ。ピリニャーカのマルティネーテや、ディエゴ・デル・ガストール伴奏のホセレーロのタンゴ、サンティアゴ・ドンダイのソレアなど、スタジオから飛び出して、機材一式をアーティストの住まいや近所の酒場などへ運び込んでの録音が多いだけに、その肌を刺す臨場感がじつに素晴らしい。フラメンコのエッセンスが凝縮された、全愛好家必携の大名盤。1987年プレミオ・ナシオナル(国家賞)受賞作品。全71曲、総計約283分。西語解説付き。(中谷伸一<「PURO DRUNKER」執筆者>)