ボリーコ生誕100周年記念作品。ファルセータやイントロを待たない奔放な唄いぶり!
昔ヘレス近郊の農場は、貧しいヒターノの重要な働き口であり、カンテ・フラメンコ醸成の現場だった。エル・ボリーコ(1910〜1983)は、そんな時代の申し子。一日の激しい野良仕事の後、ガニャニアと呼ばれる労働者用の大部屋で夜ごとカンテの宴が行われ、ボリーコ少年の素地はそこで鋳造される。大音声ながら軽妙なコンパス感。荒々しさに潜むユーモア。初代テレモートやソルデーラら、ヘレス出身のスターが輝く名盤「カンタ・ヘレス」('67)に、全国的には無名なボリーコが選ばれたのは、かなりのサプライズだったという。あても無く酒場を流して小銭を稼ぐ日々もあった。CD収録の4曲はリカルド・パチョンの秘蔵音源で、'70年代半ばのモロンでのフィエスタ、伴奏はペドロ・バカン(ペドロ・ペーニャ説もある)。残り3曲はパリージャ・デ・ヘレス伴奏。ファルセータやイントロを待たない奔放な唄いぶりや、喋りやまない無礼者に客が「黙れ!」と叫ぶ声が入ったりと、異様な臨場感も◎。ソレア、シギリージャはこれぞカンテ・グランデの絶唱。仇名の由来や、縁戚関係、ディスコグラフィーを網羅した伝記も大変な労作。生誕100周年の2010年発行。全7曲。<中谷伸一(「PURO DRUNKER」執筆者)>
ヘレスの偉大な歌い手エル・ボリーコの生誕百年。伝記本&未発表ライブCD。
A5判/西語/211頁/CD付
実直で味わい深いカンテとその人柄で親しまれたヘレスの偉大な歌い手、エル・ボリーコ(1910〜1983)の生誕百年記念として出版された伝記本。付属のCDには、リカルド・パチョンの監修による未発表ライブ7曲を収録。録音時期は不明だが、伴奏はペドロ・バカン (4曲)と、マヌエル・パリージャ (パリージャ・デ・ヘレス) (3曲)。とりわけパリージャ伴奏の3曲 (ブレリア、ソレア、シギリージャ)は音質もなかなか良く、内容も素晴らしい。ボリーコ節全開の、興に乗った熱唱が圧巻。
★ボリーコ節全開。興に乗った熱唱が圧巻!
CD収録曲:Soleares/ Bulerias/ Seguiriyas/ Solea por Bulerias/ Bulerias/ Solea/ Seguiriyas