これは貴重！伝説のシルベリオのカンテ資料（音にあらず）に基づいてレトラ復刻・再現。
2004年にラ・ウニオンで最高賞「ランパラ・ミネーラ」を獲得、プエブラ・デ・カサージャの本格派ラウル・モンテシーノも今年48歳。最新ソロ第4作目は、近代カンテの開祖シルベリオ・フランコネッティ（1831〜1889）へのオマージュ集。イタリア人の父とプエブラ・デ・カサージャ出身の母の間に生まれたシルベリオは、19世紀半ばに「世界最高のカンタオール」と称され、詩人ガルシア・ロルカが歌声を絶賛した伝説の人物。活躍時期に録音機は存在せず、歌声は確認できないので、同時代の研究家デモフィロやフェルナンド・エル・デ・トゥリアーナの資料からレトラを復刻した。収録曲はカーニャ、マラゲーニャス・ビエハス、セラーナ、ソレア・アポラーなどセピア色の古曲が並ぶ。謹厳実直な全力投球のラウールに、伴奏のアントニオ・カリオンとアンヘル・マタは最大限のレスペトを払った好演。5ページのライナー評伝は、南米闘牛士時代やカフェ・シルベリオの栄華と没落まで詳述され、シルベリオ入門者ならずとも必読の内容（西語）。曲種ごとの詳細な解説も親切。全10曲、歌詞付き。(中谷伸一）
Retrato de Silverio Franconetti/Caña/Malagueñas viejas/Soleá apolá/Rondeña del Negro y Jabera/Siguiriya y cabal/Polo/Martinete y tonás/Tanguillos de las viejas ricas