21世紀型 “プーロ・フラメンコ”の一面を明確に示した力作！日々の情景や内面の“フラメンコ”を切り取り昇華した詞。
現代カンテ実力派の筆頭株で、トレドのコラル・デ・アルマゲール出身のヒターノ、イスラエル・フェルナンデス第5作目「プーラ・サングレ」（'23）は、業界の常識を揺るがす衝撃的な一枚となった。マルティネーテ、ソレア、カンテ・デ・レバンテ、ブレリアのように、曲形式は伝統の枠組を守りながら、自作のオリジナルレトラで全曲歌い切ったのである。貧しくも輝かしい子供時代を回顧する「ソレア・デ・ミ・カサ」、グローバルな格差社会を糾弾する「アル・テルセル・ムンド」（ブレリア）、沈黙を哲学的な美で描く「セレ・シレンシオ」（セラーナ）など、日々の情景や内面の“フラメンコ”を切り取り昇華した詞の数々は、これまでと次元の違う新境地。ディエゴ・デル・モラオの伴奏は無論、新鋭DJ＆コンポーザーのピオナルによる的確なエフェクトも新たなアイレの創出に効果を発揮。前衛ながら伝統に根差し、しかも極めてパーソナル。21世紀型 “プーロ・フラメンコ”の一面を明確に示した力作。全9曲、歌詞付き。（中谷伸一）
Pucheros y sartenes(mertinetes)/Soleá de mi casa/Caminos y vereas(tangos)/Me encuentro solo(cante de levante)/Al tercer mundo(buleria)/Ni príncipe ni rey(rumba)/Seré silencio(serrana)/Despierta(buleria)/La tuya y la mía(fandango)