深く真摯なアフィシオンと、当代一流スペイン人アーティストの感覚で仕上げられた成功作!
邦人フラメンコ・ギタリストの中で、独自のポジションを保ち続けるギタリスト小林亮。それはフラメンコに対する深く真摯なアフィシオンと意識の高さがそうさせている。かつてフラメンコ史に残るカンタオール、ミゲル・フニの来日ライブを小林が全編伴奏するのを聴いたが、大御所ヒターノが信頼できないギタリストに伴奏させるわけがない。小林がこれまで積み上げてきた時間に無駄なものは何もない。本作はその彼の初アルバム。23年2月ヘレスのスタジオで録音された。リズム隊、カンテをヘレス、カディスの一流で固めたこだわりの作品である。まずブレリアでは、ヘレサーノのノリに溶け合ったオーソドックススタイルからマイナーに転調するが、ここからが聴きどころで独自の世界観を表現している。シギリージャはヘスス・メンデスの歌わせ、脇に徹している。寄り添うギターである。ヘレサーノに信頼される所以だ。ソレアは新しい和声を注意深く取り入れながらバランスが取れた仕上がりになっている。意外だったのが、ガロティンやグアヒーラ(クレジットはない)などメジャー曲の面白さだ。明るく乾いた軽妙さが光る。リズム隊をスペインに任せる賢さから生まれたともいえる本作は、一流アーティストの感覚で仕上げられた成功作である。最後はミゲル・フニがソレアを歌う。カンテにヘスス・メンデス、ダビ・パロマール、パーカスにアネ・カラスコ。全10曲、歌詞付き。
AMANECER曙光(alegria)/PERDIDAS喪われしものへの弔鐘/LA PRIMAVERA BILLANTE春ひかる/AIROSOアイロソ(garrotin)/AMISTAD友情(siguiriya)/ VIENTO DE TRISTEZA寂寥(solea)/RIO DE LA FRONTERAリオ・デ・ラ・フロンテーラ(buleria)/AL FINそして・・・/CONTIGOあなたとともに/PUREZA 純粋(solea)