[名盤・再発見]
モロンに生きるディエゴ・デル・ガストールの伝統。モロンと“トレス”、奇蹟の融合!
中谷伸一(「PURO DRUNKER」執筆者)
激しく土ぼこりが舞う、ファンおなじみのモロン・ブレリアが、メタリックな弦音の一閃で、いきなり洗練の異世界へ飛んでゆく。その秘密は、リーダーのラウール・ロドリゲス奏でるキューバの弦楽器“トレス”だ。名前の通り一見すると三弦だが、実は一弦が二本一束の作り、いわゆる複弦で、右手はピックで弾く。この複弦独特の夢幻的な残響がアラブ世界を匂わせ、モロン流の開祖ディエゴ・デル・ガストールのフレーズと、劇的なほどマッチする。ラウールは母で歌手のマルティリオがキューバでコンパイ・セグンドと共演した際、トレスを持ち帰ってくれるよう頼み、以来研究を重ねてきたという。ラウール以外は全員モロンの生え抜き(踊り:ぺぺ・トーレス、ギター:パコ・デ・アンパーロ、カンテ:モイ・デ・モロン、パルマ:マヌエル・フローレス)で固めた所も、全編が骨太なフラメンコ性を湛える理由だ。2004年発表のグループデビュー作。名盤!全8曲。
モロンに生きるディエゴ・デル・ガストールの伝統。
モロンの若手フラメンコ・グループによるモデルノ作品。ギター、歌、踊りに、キューバのトレス・ギターという楽器を加えた異色の編成で、新解釈によるモロン・スタイルのソレア、シギリージャ、ブレリアなどを演奏。モロン出身グループだけに、伝統的なモロンの特徴をよくとらえていて面白い。偉大なギタリスト、ディエゴ・デル・ガストールの名曲も収録。全8曲。
今のノリと伝統モロン・スタイルの融合が素晴らしい!スタイルは生まれ変る。
Buleria Negra del Gastor/ Como el agua entre las piedras/ Buleria del corazon/ Arabesco/ Cambiaron los tiempos/ Recuerdo/ Tangos de mi novia/ Buleria de las flores