金に無頓着な究極のボヘミアン!破天荒で短い生涯を、親族や芸人仲間の証言を収集して掘り下げた傑作評伝&CD。
シェリー酒「ラ・イーナ」が好物の酒豪&大食漢で、金に無頓着な究極のボヘミアン――新聞記者アルフレッド・グリマルド氏が、サンティアーゴ街きっての異端児ルイス・デ・ラ・ピカ(1951〜1999)の破天荒で短い生涯を、親族や芸人仲間の証言を収集して掘り下げた傑作評伝&CD。奇想天外なエピソード満載のコメントに、へレスのアイレが横溢。亡きモライートやトルタ、鬼才カプージョ、地元バイレの象徴アントニオ・エル・ピパ、特に名物バー「アルコス・デ・サンティアーゴ」の店主が語る無口なピカとカマロンの様子は詩的で美しい(51ページ)。母マリアが明かす長年の持病や、自宅で全く歌わなかったという二面性に、天才肌の複雑さが覗く。初代テレモートの大ファンで、声にはボリーコの響きを偲ばせ、敷石一つの上での「動かない踊り」を体現した唯一無二のアルティスタ。作詞者としても知られ、その美的ロマンを味わえるのが、付属CDのライヴ音源と、巻末に収録された未編集の歌詞群。全10曲、歌詞、英訳付き。(中谷伸一)
[名盤・再発見]
カマロンも熱烈なファン!そのルイスの破天荒な生き様を余す所なく伝えるライヴ音源集&伝記本。
「彼は生粋のボヘミアンだった」と名闘牛士ラフェエル・デ・パウラが賞賛し、クーロ・ロメーロやカマロンも熱烈なファンだった唄い手、ルイス・デ・ラ・ピカはヘレスのサンティアーゴ街・サングレ通り生まれ。1999年に48歳で早世(死因は心筋梗塞)したが、その破天荒な生き様を余す所なく伝えるライヴ音源集&伝記本。タクシーを丸三日間借り切った挙句にカネが無いと言ってのけ、もらったギャラはその場で使い果たし、地位や名誉に頓着せず、生前発表の録音は「カジョス・レアーレス/フンカーレス・デ・ヘレス」('98)収録の2曲のみ。タバコの空き箱や紙ナプキンに書き付けた自作のレトラは、まるでダリの絵画のようにシュールな世界。マフィアのボスか浮浪者かという魁偉な風貌も伝説に拍車をかけた。死の直前に唄ったサクロモンテのベンタ・デル・ガジョでのファンダンゴや、ビエルネス・フラメンコでの10分以上の長尺ブレリアは特筆モノ。伝記内にある日本人招聘者との騒動の顛末も興味深い。クセ者が勢揃いするヘレスの中でも異質の存在だった。マニア必携。全10曲、歌詞+英訳付き。(中谷伸一))
名盤「フンカレス・デ・ヘレス」に出ていたおじさんです。
あの「フンカレス・デ・ヘレス」に参加していた歌い手で、カンテ詩人でもあったルイス・デ・ラ・ピカ(99年死去)の未発表録音CD+伝記本(西語/126頁)。フェスティバルなどでの実況録音を集めたソレア、ブレリア、タンゴ、アレグリアス、ファンダンゴなどを収録。伴奏はニーニョ・ヘロ他。全10曲、歌詞付き。
Soleares/ Bulerias/ Tangos/ Alegrias/ Bulerias/ Buleria por Solea/ Fandangos/ Alegrias/ Soleares/ Bulerias