[名盤・再発見]
炎のバイレ!カルメン・アマジャ、名人サビーカス。20世紀の大スター揃い踏みの一枚。
中谷伸一(「PURO DRUNKER」執筆者)
フラメンコの女王、と言えばカルメン・アマジャ(1913〜1963※近年は1918年生まれ説も浮上)を置いて他にない。わが身を削り命を燃やすような炎のバイレは、残された映像でも十分すぎるインパクトが伝わるが、カルメンには「歌」というもう一つの特技があった。DECCAの原盤が1957〜58年頃発表の本作では、バイレ同様の鉄火なストレートさに加え、どこか哀愁が潜む美声を堪能できる。アルゼンチンやチリのフォルクローレ「クエカ」をブレリア化した「Cuando pa Chile me voy(チリに行くとき)」や「コロンビアーナ・フラメンカ」といった、南北アメリカツアーで仕入れたであろうヌメロが聴き物。歌の合間に電撃的に入るサパテアードは、やはり戦慄のすさまじさ。歌いながらにして、この足音が出せるとは! 天は二物を与えたのだ。伴奏はカルメンと長年ツアーを回った、名人サビーカス。20世紀の大スター揃い踏みの一枚でもある。全10曲。【円熟度★★★★★】
カルメン・アマジャ&サビーカスの永遠の名盤が復刻!一部既発売ものとダブるのでご注意。
米MCA原盤として1957年頃に録音され、日本盤としても発売された、カルメン・アマジャとサビーカス共演の余りにも有名なアルバム。名盤だけあっていろいろなCDに細切れに紹介されたが、これが原盤。既発売と一部ダブるのは、カルメン・アマジャの3枚組「ラ・レイナ・デ・エンブルホ・ヒターノ」「フラメンコの大家たち」など。日本盤の濱田滋郎氏の解説に、「いま、ここにCDの形に復刻されたカルメン・アマヤの歌声、そしてまごうかたない芸術である靴音のリズムからも、私たちは、比類のないその存在感を感じ取ることができる。あらゆるフラメンコ・レコードの中でもひときわ特異な光を放つ名盤の蘇生を心から喜びたい」とある。全10曲。
Cuando pa Chile me voy(Bulerias)/Garrotin/Tiento a mayor y menor/Jaleocanastero/Alegrias/Fandango de Malaga/Colombiana flamenca/Amanecer Arabe
(Danza mora)/Lamento gitano(Taranta)/Sevillanas