ドランテス、第3作にしてフラメンコに回帰!甘美なメロディ、高度な創作美。
フラメンコ・ピアノのドランテスが10年ぶりに第3作をリリースした。ドランテスはデビュー作「オロブロイ」やそれに続く「スール」で、意識的に(?)フラメンコ曲種を避けてきたにもかかわらず、強烈にフラメンコを感じさせる手法を取ってきたが(やはりヒターノ)、今回の第3作においては逆にフラメンコに回帰したにもかかわらず、タイトル「SIN MUROS!」→「壁を取っ払う」という快挙(暴挙?!)に出た。作品はすべてアイディアに満ちており、ピアニストでなければ考え付かないようなものばかりだ。
例えばタンゴで言えばタンゴの4拍を2拍3連2つとし、6/8拍子にもタンギージョにも聞こえるクロスリズムに仕上げている。シギリージャは5拍子のリズムの頭をすりかえるというトリック、ティエントは和太鼓を使い不思議な雰囲気を醸し出している。リズム的にも音的にもトリックがふんだんに使われているが、そこで驚かされるのは、伝統的なカンテを多くの曲にも使っていることだ。さすがに押さえるところは押さえている。この作品がどれだけフラメンコ界に影響を与えるか、興味深い。参加アーティストは豪華で、歌にエスペランサ・フェルナンデス、ホセ・メルセー、カルメン・リナーレス、エンリケ・モレンテ、ミゲル・ポベーダ、アルカンヘル。パーカッションにパキート・ゴンサレス他。全11曲、歌詞付き。
Sin muros ni candados(Bulerias)/Atardecer(Guajira)/Errante(Tangos)/Libertad entre rejas(Granaina)/leguas de amor(Bulerias)/Refugio(Tientos)/Aliento(Seguiriya)/Al calor de la manta(Nana)/Caracola(Alegria)/Una voz en alto(Malaguena)/Ante el espejo(Libre,obra en 4 movientos)