いかにもジプシー女といった歌い口!シギリージャ、ソレア、サエタに抜群の良さ。
飯野昭夫(フラメンコ研究家) 本名イサベル・ラモス・モレーノ(Isabel Ramos Moreno, 1895-1935),ヘレス生まれのジプシーであるが,スペイン北部の町サモーラで若くして亡くなった。伝記的なことを付け加えるなら,最後のカフェ・カンタンテといわれるマドリーはサンブラのアトラクション・スター,踊り手ローサ・ドゥランの養母でもあった。
添付の解説書にはスペインでもほとんど知られていないと書かれているが,どっこい日本では何曲か既に復刻されていて,彼女のいかにもジプシー女といった歌い口を高く評価するファンはいたのである。ルンバ,ファンダンゴも含めてどの歌もジプシー的な味のする熱い歌い方が特徴と言えようが,やはりシギリージャ,ソレアー,ブレリーア・ポル・ソレアー,それとサエタには抜群の良さがある。同じヘレスのギタリスト,ハビエル・モリーナによれば踊りのためのブレリーアが逸品であったとのことだが,このCDには1曲しか入っていないのが残念。また,2曲目に収録されたシギリージャは素晴らしい出来であるのだが,実際の声より高く・速く復刻されているのが欠点である。音声編集の出来るアプリを持っているひとは,1音くらい低く補正して聞かれたら,ずっと感動が増すであろう。(全26曲、歌詞付)
La paloma mensajera (Fandangos)/Se me cambiaron los vientos (Seguidilla)/Presente ahí lo tenéis (Saeta estilo Seguidillas)/Todas las madres tienen pena (Saeta jerezana)/Madre mía de la Piedad (Saeta del Calvario de Jerez)/Sentado en la piedra aguardando (Rumba)/Catalina mía (Rumba)/